南スーダンPJ活動報告

弊社のメンバーが2022年2月から2023年3月までJICA南スーダン税関支援プロジェクトにIT専門家として参加しました。
安全上の理由から南スーダンには渡航せず、お隣のウガンダから支援するという少し特殊な業務ではありましたが、無事に1年間の業務を終えることができました。

今回は業務内容や現地での活動についてご報告したいと思います。(以下、安川より報告)

世界で1番新しい国 南スーダン共和国

南スーダン共和国は2011年にスーダンから独立した、世界で1番新しい国です。
過去に英国とエジプトによる北部及び南部スーダンの共同統治時代があったこともあり、言語は英語とアラビア語が主要言語として話されていますが、アフリカ諸国と同様に多数の民族言語も使われています。
南スーダンは東アフリカのナイル川上流域に位置しており、豊かな大自然を有す南スーダンの国土面積は日本の約1.7倍で、60を超える民族の大半がそれぞれの土地の気候や生態系に応じて主に自家消費的な農業や牧畜、漁業などを営んでいます。その国土全域で開発がほとんどなされておらず、保健、教育、水供給などの基本的な社会サービスや、電力、道路などの基礎的なインフラが決定的に不足しています。また、それらのサービスを提供する地方の政府・行政も殆ど存在しないため、国民の基礎生活環境は著しく悪い状態が続いています。


今回のプロジェクト期間中に実際に南スーダンに渡航することはできなかったため、南スーダンの風土や文化を肌で感じることができなかったことが心残りです。南スーダンもアフリカの布で洋服を仕立てておしゃれを楽しんだり、伝統的な音楽を楽しんだりと美しい文化があります。きっと、まだまだ知らない魅力が隠されているはずなので、いつか現地を訪れる日を楽しみです。

税関支援プロジェクト

プロジェクトの概要は下記の内容になります。

南スーダンは2011年に独立国家となりましたが、同国経済は原油収入に過度に依存しており、原油収入が2010年の同地域のGDPの71パーセント、歳入の98パーセントを占めています。このような状況において、同国の歳入庁税関局が適切な業務により関税収入を増加させるという役割の重要性が増大しており、JICAでは2011年から税関セクターの能力向上支援を行い、Harmonized Systemコード(HSコード)に基づく関税率表の適用やHSコードに基づく業務を南スーダン税関内で推進するHSユニットの設立等、一定の成果を達成しました。しかし依然として、国境事務所での税関手続きは、職員の能力の低さや理解の欠如から、非効率な状況が続いています。本協力は、同国において、HSコードの機能強化、国内での適切な関税率に基づいた税関職員及び通関業者の業務能力向上、及び原産地規則に係る能力強化を行うことによって主要国境において国際基準に即した税関職員の税徴収能力強化を図り、通関手続きの近代化に寄与します。

参照:https://www.jica.go.jp/oda/project/1900343/index.html

具体的な業務内容

私の主な業務内容は下記の内容でした。

  • 南スーダン税関に導入された通関電算化システムの調査と、調査結果を踏まえた改善に向けた提言
  • プロジェクトで利用してるアプリの運用サポート
  • 税関職員、通関業者のITスキルの強化
  • 税関職員、通関業者への研修実施サポート
  • その他プロジェクトマネジメント業務

調査に関しては現場を実際に見ることができないため、オンラインでヒアリングする機会が多かったですが、南スーダン税関の方々やプロジェクトの現地スタッフのサポートのおかげで、円滑に業務を行うことができました。

ウガンダ、南スーダン共に公用語は英語のためプロジェクト内の公用語は英語でしたが、微妙なニュアンスの違いや不安定な電波状況の中でも互いに意図を汲み取ろうとする姿勢のおかげで、問題なくコミュニケーションをとることができました。

歳入庁訪問時の様子
研修中の様子
工場見学引率中の様子

この1年を振り返って

プロジェクト参加前の南スーダンに関する知識は、学生時代に社会の教科書に載っていた「自衛隊の南スーダン派遣、PKO活動」のみでした。そのため、アフリカの中でもかなり情勢的に不安定で、かなり危険な国。という印象をかなり強く持っていました。
プロジェクト関係者との関わりを通して、世界の他の国と同様に南スーダン特有の文化や歴史、人々の暮らしの営みが存在し、世界の他の国となんら変わりない、ということを実感することができました。当たり前のことなのに、そこまで想像力が働かず、ニュースや報道の「文字」として認識し、その先にある事柄への興味関心が欠如していました。
JICA海外協力隊としてセネガルに2年間住んでいた経験から、世界は以前よりもグッと近くなり、想像力も働くようになっていたように思いましたが、まだまだ自分の中にある潜在的な思い込みやステレオタイプがあるということに気づく機会になりました。

異なるバックグラウンドや文化、価値観を持つ人と共に働くには想像力がとても重要です。今後の仕事や人生のために、今回のこの気づきは私にとって重要な経験だったと思います。

南スーダンだけではなく世界にはまだまだ情勢が不安定な国もあり、今日も戦争を行っている国もあります。そんな国々でも、朝目覚めて夜寝るまでには人々の生活の営みがあり、家族があり、皆大切な人がいる、という当たり前の事実から目を背けないように、忘れないようにいたいです。

税関の支援は国が適切に税収入を得られるようになるためのとても重要な役割があります。目の前の人々の生活を直接改善できるわけではないので当初は少々もどかしさを感じていましたが、間接的のようで人々の暮らしを向上させるための直接的な部分に関わることのできる、とてもやり甲斐のある仕事でした。
途上国の開発支援は一歩一歩の積み重ねがとても重要になるため、長期間に渡ります。地道ではありますが、実際にその国々の未来のために働く現地の方たちと信頼関係を構築しながら一緒に働けるというのは、とても魅力的だと感じています。

南スーダンやアフリカ諸国、その他のアジア諸国でもこれからICTは急速に成長していくことでしょう。
ITや国際協力に興味がある方は是非お気軽にお問合せください。


是非一緒に働きましょう!

ウガンダ人プロジェクトスタッフの2人と

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