2021年を振り返る。TOKYO2020Paralympics
皆さんこんにちは。
今年も残すところ僅かとなりましたが、印象に残っている出来事や思い出はありますか?
2021年夏。
例年にも増して暑い熱い夏だったことを、覚えていらっしゃるでしょうか。
上の写真、何だか分かりますか? そう。聖火です。
TOKYO 2020 オリンピック パラリンピック
コロナ禍で1年延期にはなりましたが、無事に開催されましたね。
実はこの夏、TOKYO2020パラリンピック競泳会場で語学ボランティアとして参加させて頂きました。
もうすっかり寒い季節ですが、あの熱かった夏、TOKYO 2020+1を振り返って、少しでも暖かい気持ちになって頂けると幸いです。
ボランティア参加の経緯
個人的な話になりますが、私の大学の先輩であり、JICA海外協力隊のOVである方から、今回このパラリンピックボランティア参加へのお話を頂きました。
オリンピックパラリンピックを愛してやまず、念願だったTOKYO2020の組織員会の一員として約6年間勤務されました。
イタリア語を始め、スペイン語、英語と堪能なので、イタリアの選手団やスペイン語圏の人たちからは引っ張りだこだったようです。
活動内容
パラリンピック競泳会場は、江東区辰巳にある東京アクアティクスセンターでした。
今回私は語学ボランティアとして参加したので、主な活動内容は日本語と英語の通訳でした。
朝:6:30~13:00
午後:13:00~21:00
上のように、朝と午後のシフトがあり、私は日程の前半が午前、後半が午後のシフトでした。
語学ボランティアの担当場所は日替わり(人によります)で、私は下記の場所を担当しました。
- 競技プール
競技が行われているメインプール。 - インフォメーションデスク
競技に関する様々な情報が集結し、選手団の対応も行う。 - W-up Warming-up pool
ウォーミングアップ用のサブプール - 観客・選手席
会場の観覧席 - WPS(World Para Swimming)
競技運営関係者、審判等が不正がなく競技が行われているかをジャッチしたり、抗議があった場合は対応したりする。
私はWarming-upプールの担当が多かったので、各国の選手団の練習風景や、リラックスして楽しむ姿を身近で見られたのは本当に貴重な経験でした。
印象に残っていること、まとめ
- 各国ごとに施設内を移動する乗り物が違っていました。電動のキックボードや、電動キックスクーター、高機能電動車いす、おしゃれな車いす、など。
- 義足の形状も国ごとに異なっていて、おしゃれな柄の義足もありました。日本人スタッフの理学療法士さんから、「国ごとに義足も違うし、リハビリの仕方も違うから、歩き方も全然違うし本当に興味深い!」という話を聞いて、確かに、ズボンを履いていたら義足で歩いているとは気づかないほどスムーズに歩いている選手がいました。
- プールに入る前のトレーニング方法も様々で、ある日本人選手のトレーニングの様子を他の国のコーチが「動画撮って良い?その器具見せて!」と情報交換をし合っている姿がとても微笑ましかったです。
- タッピング(ターンとゴールの時に選手の身体に触れて合図をすること)用の棒の長さも様々で、それどうやって運んできたの!?と思うほど長い棒を持っている国がありましたが、よく見ると伸縮性でした。日本は基本的に頭をタップするようですが、他の国は腰や背中が多いようです。このタップで選手のタイムが変わってくるそうなので、タッパーは重要な役割。お互いの信頼関係があってこそできることだと思った。
- 会場内の壁にはオリンピックパラリンピック公式のポスターが貼ってあったのですが、「最終日の21:00から無料で好きなポスターを1枚持ち帰れます!」とアナウンスされると、各国の選手やチーム関係者が早い人では1時間前から欲しいポスターの前に張り付いて待っていました。21:00直前、最後は皆で「3・2・1」のカウントダウンで壁からポスターを剥がして、嬉しそうに持って帰っていきました。
- 競泳最終日は競技プール担当でしたが、木村選手と富田選手の金メダルを目の前で見られたことは、本当に幸せでした。震えました。
- パラリンピックだけではないですが、コロナ禍で参加を断念した国は、やはり経済的に貧しい途上国が多いのが現実でした。設備や器具も先進国との格差は大きいです。「平和の祭典」と言われていますが、選手同士がフェアに戦うためには、まだまだ課題がたくさんあると感じました。
感想
忘れもしない初日、担当場所には次から次へと選手や監督コーチがやってきました。
腕がない人短い人、目が見えない人、両足がない人・・・ここにいていいのか、という疎外感を感じました。これだけの障害を持った人に囲まれた経験は初めてでした。
そう感じる自分も嫌で、とモヤモヤしていた時、パラ競泳関係のスタッフがこう話しかけてきました。
「わぁ、外国の人ばっかり・・なんかドキドキする。慣れない。」
はっとしました。私は、大勢の外国人に囲まれるということに対しては、違和感も何も感じなかったなぁと。
私もその方も、普段から関わることが多い人に対しては何も思わない、ただの日常の一部だからです。
3日目にもなると、最初に感じた違和感のことなんかすっかり忘れ、刺激的で楽しい毎日でした。
人間は1人1人違っているし、国籍が違えば異なることもたくさんあるし、障害があるなしで見える世界も生活も、もちろん違うと思います。その違いばかりを強調する「多様性」ではなく、違って当たり前という前提のもと、共通点を見つけていって、どんな人とも自然に関わっていける社会になって欲しい。と、パラリンピックを通して改めて感じました。
TOKYO2020大会で、競泳はもちろん競泳以外のパラ競技も初めて観戦しましたが、とにかく面白かった、という言葉に尽きます。
「勉強のためにパラリンピックを観ましょう。」「多様性理解のために観戦するべきだ。」ではなく、
「パラリンピック、面白いから観ようよ!!」
と1人の大人として伝えていきたいな、と思いました。
素敵な出会いと発見があったパラリンピック、今回関わった皆様、本当にありがとうございました。
そして13日間の長期間参加させてくれた会社には本当に感謝です。